2007-10-30

赤とんぼの謎

この虫の中でも赤とんぼというニッチにテーマを絞り込んだマニアな本。
赤とんぼの謎
赤とんぼの謎
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新井 裕
どうぶつ社
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内容は一章で日本人と赤とんぼとの関わりについて語ったあと、アキアカネの話、ウスバキトンボの話、その他赤とんぼ全般の話とまとまっていて読みやすい。 日本ではこれほど風物としてなじみ深いトンボが、外国では「刺す」という誤解もあって忌み嫌われていたり無視されていたりするというのは驚いた。日本のように親しみを感じるのは水田で稲作を行う韓国や台湾に限られているというのも興味深い。また、有名な「赤とんぼの唄」について語られている蘊蓄はさすが! 赤とんぼが羽化して後避暑のため山に登って秋に帰ってくるという話はわたしでも知っているくらい有名だが、それはアキアカネというトンボの話で、一般に見られる赤とんぼには大きく分類するとこのアキアカネと外国から飛来するウスバキトンボに分類できるというのも初めて知った。本のタイトルになっている「謎」とは、
  1. アキアカネは何故夏の間山に移動するのか? (避暑のためのというのはあくまで説らしい)
  2. ウスバキトンボはどこから来て、何故日本に来るのか?
の2つが大きく取り上げられている謎である。 結局、研究家の方が集めたデータやそこから著者が考える説がいくつか示されるが、決定的な結論に至らないところは少し歯がゆい、もともと著者は大学の研究員だった方が、現在は愛好家として趣味でトンボを研究しているようで、結論に至るデータを集めて検証するには膨大な採取とデータの分析が必要なので限界があるのだろう。トンボにそこまでの資金を提供する研究機関もないのかもしれない。 しかし、あまり学術的に難しい話にならずにわかりやすい内容なので興味本位でも十分に楽しめる内容になっている。身近な虫だけに子供たちに聞かせる蘊蓄としてはよいテーマだし、最後に環境の問題も出てくるので赤とんぼという 目に見える形で環境を考えるというのはよい啓蒙のアプローチだろう。

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