不知火牡丹

今日は千葉市の科学館に行って線香花火を作ってきた。

火薬に、硝酸カリウム、硫黄、木炭、松煙を混ぜて作るのだが、配分が微妙らしく、0.01gまで計れる正確な秤(息を吹きかけても目盛りが変わる!)を使って計量していく。硝酸カリウムは衝撃や摩擦で爆発するというので慎重に扱う。

と、まぁ、ここまでは慎重にやれば誰でもできるのだが、ここから和紙の先に火薬を微量乗せて先の方から丸めて紙縒りにしていくところが難しい。実際には紙縒りは難しいので、仕方なくねじって巻いて行くのだがこの火薬の部分の巻き方でずいぶんと燃え方が違うのだ。しっかり巻いてないと、本当にだらしなく燃えるだけでちゃんと玉にならない。紙を巻くとき捻っていると火薬と紙が交互になって燃え方も違う。
結局、何本か試作して燃やした後10本ほど持ち帰ってきた。

科学館の売店に国産線香花火がいくつか置いてあったので、帰りに不知火牡丹という線香花火を買ってきた。国産の線香花火は平成10年に一度絶滅しているそうで、この不知火牡丹は福岡県の最古の花火メーカー「筒井時正商店」1999年に「九州の線香花火づくりの火を消してはいけない」と再生したもの。

やってみると、本当に違う!
いや、わたしが作った線香花火との比較でなく、最近街で売っている中国産の線香花火とこの不知火牡丹を比べると全然違う。中国産のはバチバチっとなるのは同じなのだが、その後すぐにボトッと落ちてしまい、この花火と比べると趣も何もない。もしかして中国産の花火は鉄粉でも入れてバチバチ感だけ出してんじゃないかと疑りたくなる。

それに比べるとこの不知火牡丹は本当に子供の頃見ていた線香花火と同じだ。
最初のバチバチは似たような感じだが、その後玉になってでもバシッバシッとときどき火花を飛び散らせ、最後は儚げに「柳」状態になっても火花をかろうじて飛ばしながら消えて行く。

なんでも、線香花火の火花は木炭や松煙の中の炭素が燃えているそうで、他の不純物も混じっているため複雑な組成であのように燃えるそうだ。この炭火色の火花というは現在では線香花火のみで、他の多くの花火は金属を配合して色を出しているそうだ。江戸時代は打ち上げ花火もこの仕組みだったようなので伝統にの花火という訳。

わたしは西日本で育ったので、実は線香花火というと紙の紙縒りでできたものでなく、思い浮かべるのはワラの先に黒い火薬が付いたもの。「すぼ手」というらしい。このタイプはほとんど国産のものはなく、おそらくこの「筒井時正商店」が出している「すぼて牡丹」という花火が唯一のものかもしれない。

これからは、みんなコンビニの安い花火なんかでなく国産の線香花火を買って趣深い夏の夜を過ごすことにいたしましょう。もう、夏終わっちゃうけど……

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