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宗像大社・古代祭祀の原風景

宗像大社・古代祭祀の原風景 (NHKブックス 1119)
正木 晃
日本放送出版協会
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中学の頃、福岡に住んでいた。夏休みに暇を持て余して「神社でも回るか」と思ったのは、太宰府天満宮の近くに住んでいたからだろうか。最初に目指して50kmの道のりを自転車を漕ぎだし、途中で挫折したまま一度も音連れたことがないのが宗像大社だ。

「大社」というのは平安のころ延喜式神名帳に大社として格付けされた神社。500ほどの大社があるらしいが、まぁ大きな神社なのだろうとなんとなく思っていた。が、この『宗像大社/古代祭祀の原風景』ってのを読んでみると、とんでもなく古い由来のある神社で、500どころか古代にはベスト5には入っていて、平安のまでもの凄い権勢をふるっていて、それが戦国時代まで続いていたらしい。

この宗像大社の神領、というか御神体のような扱いをされているのが玄界灘に浮かぶ沖ノ島だ。福岡に住んでいながら全く知らなかったが、この島は海の正倉院と呼ばれるほど戦後の発掘調査でお宝がざくざく出たらしい。縄文時代から聖域で、北九州地方の宗像大社が治める地域はもちろん、古代から平安まで数百年に渡って大和朝廷が盛んにこういったお宝を奉納し祈祷を捧げていたらしい。それが、島が神領で立ち入り禁止だったこともあり、宝物がそのまま1000年の時を経て出てきたのだから驚く。

遣隋使や遣唐使の無事を祈ったというのもあるだろうが、大和から遠く離れた地方にあってこの重視の仕方は、とても不思議な感じがする。当時のこの島の神通力と、もしかすると天皇家や大和朝廷の成り立ちに関わっているのでは?という説が出てくるのもうなずける。

この本ではこういった宗像大社の歴史と沖ノ島の成り立ちを解き明かしながら、今年沖津宮現地大祭で禁断の島に立ち入った作者の新しい情報が紹介されている。また、同行した夢枕獏氏との対談も興味深い。

秋の夜長、古代のロマンに思いを馳せるのに最適な一冊。

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