漫画『僕はビートルズ』を読んであまりに腹立たしいので、日本人には絶対作れない曲"Penny Lane"を演奏してみました。ピッコロの音域が高すぎて超音波みたいになったのでちょっとトランペット入れてアレンジしてます。
Penny Lane by yostos『僕はビートルズ』は第25回MANGA OPEN大賞の新人の作品が原作で、かわぐちかいじが漫画化している。ビートルズデビュー前にタイムリップしたFab4というコピーバンドがビートルズに成り代わっていく話。
タイムスリップを利用した盗作を天下の講談社が描くのかとかいろいろ批判があるが、我慢ならないのはそんなところではない。そのお粗末なマニアっぷり。単行本では「ここのこういうエピソードに基づいて描かれてる」的な解説まで入ってる。だが、Fab4 が作中で発表する 1stアルバムの選曲、最低だ。
曲は、A面が
- I Wanna Hold Your Hand
- And I Love Her
- I Saw Her Standing There
- Yesterday
- Hard Days Night
- She Loves You
B面が
- Help!
- With Little Help From My Friend
- Norwegian Woods
- Something
- Sgt. Peppers Lonely Hearts Club Band
- Let It Be
まず録音技術の進歩を全くわかっていない。
当時の日本のスタジオの状況はわからないが1961年当時のスタジオがAbbey Roadと同等とすると、半分以上の曲は録音すらできない。なぜなら、Abbey Roadに4トラックが導入されたのがやっとHard Days Night の頃で、それ以前は2トラックだった。
また、当時Abbey Roadのスタジオには優れたエンジニアがいて、バンドと実験を繰り返しながら多くの機器を発明・開発していた。今で言うコーラスみたいなダブルトラックのエフェクトを可能にするADTなんかも独自開発。Sgt. Pepperの頃には、4トラック2台を同期させて実質8トラックの録音を可能にする装置なんかも開発している。ベースをダイレクトにコンソールにつなげる機材も開発してる。レコードってそういうことを前提に成り立ってるんだ。1961年当時の日本のスタジオだと、再現して録音できるのは、A-1, A-3, A-6 の3曲のみ。
また、楽器と奏法の進化も知らないのだろう。
使用楽器と音楽環境と曲のアレンジ、ギターのフレーズは思う以上に関連している。例えば、彼らでいうと初期はチャック・ベリーに代表されるコードポジションから複音を中心のフレーズなので愛用のギターはセミアコのギター。が、中期は単音でチョーキングを多用するため、センターブロックのないホローボディーのEpiphone Casino 。後期はブルース的な音使いとオーバードライブさせたロングトーンを使う現代的な奏法に変わったため、Les PaulやTelecasterなどソリッドボディのギターが主体。これは、その時々の音楽的なバックグランドや手にしている楽器が楽曲には現れていて、そこでベストなフレーズをギタリストは編み出して弾いているからだ。
過去に成立している曲をそのときのアレンジ通りに弾くとか懐古趣味でそういうアレンジをすることはある。でも、新曲で革新的な音楽を編み出そうというグループが"I Saw Her Standing There"みたいソロをGretchのテケテケサウンドで弾いて、一方で同じアルバムで同時に情感豊かなチョーキングを駆使した”Something"みたいなソロをLes Paulで弾くなんてことはあり得ないんだよ。
まぁ、そんなことより “Help!"の後に"With Little Help From My Friend"はねーだろ。Help つながりかよ。いきなり「ビリー・シーン」登場してもリスナーはなんだかわからんだろう。 そして、その3曲後に"Sgt. Pepper"。素直に”With Little Help"の前にもってこいよ! ビリー・シーンで終わってもなんだかわからんだろう。
なんか、よく知らないファンが好きな曲を並べたって感じだね。
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