Anthropic Interviewer
昨日Claudeに「Anthropic Interviewerに参加しませんか?」と見慣れぬポップアップが表示されました。 回答していくと、生成AIであるClaudeに生成AIの活用方法や将来の役割をインタビューされるという 奇妙な体験でした。
By Toshiyuki Yoshida
Anthropic Interviewerとは
AnthropicはClaudeの使用パターンを分析するツール「Clio」を利用して生成AIの利用パターン などを調査してきました。しかしClioで分かるのは、Claude内で何が起きているかだけで、 Claudeがどう外の世界に影響しているかは分析できていませんでした。
ユーザーはClaudeの出力をどう使っているのか? AIについてどう感じているのか? これを知るには、Claudeの入出力から分析できず、ユーザーに直接聞くしかありません。
そこでAnthropicは、Claude自身がインタビュアーとなる「Anthropic Interviewer」を開発したということです。
参加方法
Anthropic Interviewerは、Claude.aiのFree、Pro、Maxサブスクライバー(登録から2週間以上経過)が対象です。
Claude.ai上でポップアップ招待が表示されるか、直接 claude.ai/interviewer にアクセスすることで参加できます。
インタビューは約10〜15分で、回答に応じて質問が適応的に変化するリアルタイム会話形式です。 具体的な質問内容は固定されておらず、以下のテーマを探索します。
- AIの将来的な役割についてのビジョン
- その視点を形成する経験、価値観、ニーズ
- そのビジョンを助ける、または妨げる要因
初期テストでは、参加者の97.6%が満足度5以上(7段階評価)と回答し、99.12%が他者に推奨すると答えています。
現在のインタビュー結果
このツールを使って、1,250人にインタビューした結果が、 すでに「Introducing Anthropic Interviewer: What 1,250 professionals told us about working with AI」 という記事で公開されています。
この記事によると、このツールを使って、一般労働者1,000人、科学者125人、クリエイター125人の計 1,250人の専門家にインタビューを実施し、AIの使用実態や感情を調査したそうです。
結果として、全体的には楽観的な見方が優勢でした。
- 一般労働者の86%が時間節約を実感し、日常的な作業をAIに委任しつつ、専門的アイデンティティを定義する業務は自分で行いたいと考えている
- クリエイターは97%が時間節約を報告しているが、仲間からの偏見や経済的置き換えへの不安も抱えている
- 科学者は論文執筆やコードのデバッグにAIを活用しているが、仮説生成や実験設計などの中核的研究には信頼性の問題からまだ使用を限定している
私の生成AI感
今回15分ほどのインタビューを受けて、改めて自身の生成AIに対する向き合い方を意識できました。
意外だったのは、AIにServant的な役割を期待していないということです。 もちろん、生成AIに作業を代行させて生産性を上げるということはやっていますが、 あまりそこを重視していません。 それどころか、AIロボットのような人間の召使い的な方向で発展するのを極端に嫌悪しているのを初めて自分でも意識しました。
最も活用できる方向として、自分と同等以上の知識と論理性を持った「ディスカッション相手」としての生成AIだと意識できました。 自分を生成AIとの会話から新しいアイデアに辿り着いた体験が何度かあり、それが一番衝撃的だったので影響されているのだと思います。
人間にDVを受けるロボットより、バベルの塔のマザーコンピューター1を見たいのです。
Footnotes
-
『バビル2世』に登場するコンピューターで、5000年前に地球に不時着した宇宙人「バビル1世」が建造した「バベルの塔」を管理する超高性能電子頭脳です。自然言語で話し バビル2世の良き相談相手として登場します。 ↩