今週は残暑にやられてしまし、体調を崩してしまいました。

今週の気になった記事や出来事は次の4つです。

  • フジテレビ「牛の屠殺」発言について
  • CharGPT o1-previewがリリース
  • 今更ながらAmazon Q Developerを試す
  • 個人のタスク管理について

フジテレビ、「牛の屠殺」発言について

9月12日の情報番組「ぽかぽか」で高畑淳子さんが通院した病院の対応 を「牛の屠殺みたいに」と表現しました。これに対して、フジテレビは「職業差別を助長する恐れがある不適切な表現」として、翌日の番組内で発言の取り消しと謝罪を行いました。

遡ると1989年には、TBSの「NEWS21」で故・筑紫哲也氏が、麻薬問題で荒れるニューヨークを「残酷な殺し合いの場」として「屠殺場」という言葉を使用し、批判を受けたことがありました。全芝浦屠場労組と全横浜屠場労組がこれに抗議し、筑紫氏は約1年かけて彼らと議論し、自身の発言の差別性を明らかにした上で謝罪しました。

「屠殺」という言葉の使用が差別的であったか考えてみましょう。「屠殺」を推奨される「食肉処理」に置き換えると、そのニュアンスがわかりやすくなります。

筑紫氏の発言では、「残酷な殺し合い=食肉処理」となり、問題があります。一方、高畑さんの場合、「流れ作業的=食肉処理」との例えです。これは的確とは言えないものの、差別的な要素があるかは疑問です。一般的に「流れ作業的」なことを工場の「ベルトコンベア」に例えることがありますが、「食肉センター」が合理的で効率的であると指摘することは差別的なのでしょうか。

私は問題なのはフジテレビの対応にあると思っています。主に2点です。

  • 筑紫氏のようにその意図の確認や検証の過程を明らかにせず、「職業差別を助長する恐れがある不適切発言」と断定したこと。
  • 発言者である高畑さんが不在の中で、フジテレビが謝罪したこと。

これでは、フジテレビが言葉狩りを行い、出演者を「差別的」と断罪し、一方的に謝罪を発信したように見えます。

「屠殺」という言葉は古くは757年に施行された「養老律令」でも使用されています。「謂。元謀屠殺、其計已成、身雖不行、仍為首罪合斬」(屠殺を計画し、その計画が成立していれば、自ら行動しなくても首謀者として斬刑に処されるべきである)とあります。このように、「屠殺」とは単に「殺す」という意味であり、差別的なニュアンスは含まれてません。現に隣国の中国でも韓国でも用語として「屠殺」が普通に使用されています。

さらに日本の「畜産物衛生管理法」第7条にて「(家畜の屠殺等)①家畜の屠殺・処理、集油、畜産物の加工・包装及び保管は、第22条第1項により許可を受けた作業場でしなければならない。 」と明記されています。一般的な用語であることがわかります。

報道機関などでよく参照される共同通信社の『記者ハンドブック』では「屠殺」は「食肉処理」への言い換えが奨励されいます。差別的な概念を含まず歴史があり隣国も使用し日本でも法令が使用する言葉をなぜか封じ込めようとする。

バカな話です。

ChatGPT o1-previewがリリース

o1-previewがリリースされ使えるようになりました。 これまでのChatGPT o4と比較すると、より深い思考を行い人間のように時間をかけて考える点が異なります。思考プロセスを洗練し、異なる戦略を試しミスを認識します。GPT-4oよりも複雑なタスクを推論し、科学、コーディング、数学の分野でより難しい問題を解決可能とされています。

試してみたところ、必ずしもChatGPT o4よりも精度が高いとは限らないようです。一般的な言語タスクや幅広い知識を要する課題では素早く対応できるChatGPT o4の方が良い結果となることが多かったです。o1-previewの場合複数のステップで回答を検討していることが示され、時間がかかります。

科学的モデリングや数学的分析は私は馴染みがありませんが、私の利用範囲で言うと課題を与えてプログラムコードを生成させるようなコーディングタスクでは o1-previewの方が良い結果になることが多いように思いました。

活用分野により使い分けが必要ですが、従来モデルでは解決できない分野への適用の可能性が広がる点は素晴らしいと思います。

今更ながらAmazon Q Developerを試す

8月に発表されたGartner Magic Quadrant for AI Code Assistants について日本語に記事が出始めました。各社が引用して自社のAIコードアシスタントをアピールしており、 AWSの ブログ記事 でもその様子が見られます。

この分野でリードしているのはやはりGitHub Copilotです。Google CloudのGemini Code AssistやGitLabのDuoなども追いかけています。

AAWSも取り上げられていますが、Cloud9など一部のサービスが新規利用不可になっている中で「今更CodeWhisper?」と思いました。しかし、4月末からCodeWhisperはAmazon Q Developerに統合されていたことを思い出しました。対応しているIDEはVisual Studio Code、IntelliJ IDEA、AWS Cloud9ですが、私が使っているNeoVimはサポートされていません。しかし、Amazon Q Developerは Macのコマンドラインをサポートしており、iTerm2、macOS ターミナル、Hyper、Alacritty、Kitty、wezTermと主なターミナルに対応しています。

試していなかったので、Macに導入してみました。

  • CLI Completions
    シェルでコマンド補完ができる機能です。オンにするだけで、コマンドのオプションや引数、ファイル名などを賢く補完してくれます。非常に便利です。

  • Chat
    q chatで開始できます。コマンド履歴やGitの状態を渡して「Gitのコンフリクトをどう解消する?」などと尋ねると、解決方法を解説してくれます。ただし、英語のみの対応です。

  • Translate
    q translateで起動し、英語でやりたいことを入力すると、対応するコマンドに変換してくれます。例えば、go to Desktop folderと入力すると、cd ~/Desktopというコマンドを生成して実行するか確認してくれます。便利なのかは微妙です。

私が使用しているNeoVimには対応していないため、コーディングのアシストには使えませんが、コマンドラインの補完機能は割と便利なので利用しています。ちなみに、NeoVim上でのコードアシストにはCodeiumを使っています。

個人のタスク管理について

個人のタスク管理でRemember The Milkを15年ぶりに使い始めました。

GTD1 が流行り出した頃 Remember The Milkを使っていましたが、徐々に物足りなくなり以下のツールへと変遷してきました。

  • 本格的なGTDツールとしてOmniFocusをしばらく使いましたが、GTDに忠実過ぎて使い勝手が悪くなりやめました。
  • 次にローカルでプレーンテキスト管理ができるTaskpaperをしばらく試しました。コンセプトは素晴らしいものの、ファイル名を指定してタスクファイルを開いたり保存する操作が面倒でやめてしまいました。
  • 最終的にブラウザベースのToodledoを長期間使用しました。柔軟なツールで、非常に使いやすかったです。

今はプロジェクト管理をすることもなくプライベートなタスクを管理できれば良いのでシンプルなツールが良いと感じ、Remember The Milkを再び使い始めました。初期のGTDコンセプトをベースにしたサービスですが、今でも優れた機能を提供しています。GTDを柔軟に、ルーズにも厳格にも運用できる点が魅力です。特に気に入っている点は以下です。

  • 不要なものを視界から排除したシンプルなユーザーインターフェイス
  • 多くのショートカットがより、慣れるとマウスなしで操作できる
  • テキストだけでスマートなタスク登録が可能。「新店舗取材 ^Friday ~Sunday =1hour #weblog」と入力すると、開始日が金曜日、期限が日曜日、1時間程度のweblog関連タスクとして登録されます。

また、CalDavを利用して完了日をイベントとして取得し、Fastmailのカレンダーでタスク期限を確認しています。

無料版でも十分ですが、サービスへの支援としてPro版に移行しました。


  1. 「Getting Things Done」の略で、デビッド・アレンによって提唱されたタスク管理や生産性向上のためのメソッド。 ↩︎