Apple Silicon時代のMacバックアップ最新戦略
4月に入って日本語対応のApple IntelligenceをサポートしたmacOS Sequoia 15.4、4月16日にはセキュリティアップデートのための15.1、その他Command Line Toolsのアップデートなどが続いています。これらの更新の前には都度Macのバックアップ と取っていますが、改めてMacのバックアップについて検討してみました。
By Toshiyuki Yoshida
Macのバックアップ戦略
macOS は OS 自体がTimeMachineという自動バックアップ機能を持っています。 以下のような特徴を持っています。
- 特徴: macOS に標準搭載、独自形式でデータを保存
- メリット: 設定が簡単、自動バックアップ、過去バージョンへのアクセス
- デメリット: 独自形式のため通常の Finder からのアクセスが困難
- アプローチ: 問題発生時はリカバリーから OS インストール後、Migration Assistant でデータ復元
iMac を使っていた時は使っていましたが、Macbook を使うようになってから TimeMachine の使用を止めました。 理由は、バックアップ用にディスクが常にマウントされているとは限らないので 「自動バックアップ」の恩恵が相対的に薄く、加えて独自形式のため TimeMachine の メカニズムでしかバップアップにアクセスできないためです。
Apple Silicon時代のバックアップの変化
TimeMachine を使用しない替わりに、長らくSuperDuper やCarbon Copy Clonerを使いディスクごと 完全なクローンを取っていました。 完全なクローンはブート可能なので、リカバリーの際にはクローンディスクから macOS をブートしてリカバリーを行うことができました。
しかし、Apple Silicon 搭載の Mac(M1/M2/M3 チップ)では Intel が使われていた時代と 比較してシステムアーキテクチャが大きく変わりました。
主な変更点は次の通りです。
- OS が読み取り専用として保護されるようになった
- リカバリー機能がより強化された(Recovery・Fallback Recovery が内蔵)
- 外部ドライブからの起動に制限が追加された
バックアップ戦略も見直す必要が出てきました。 このため Bootable な完全ディスククローンという戦略は以前ほど重要ではなくなりました。
推奨バックアップ戦略
次のようなバックアップ戦略を変更することが必要です。
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データ中心のバックアップ:
- OS ではなく、ユーザーデータを確実に保護する
- SuperDuper の場合は
Backup - User files
オプションが効率的 - TimeMachine を使う場合は、同様にデータのバックアップに重点を置く
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リカバリー戦略:
- 問題発生時:
- リカバリーモードから起動(⌘+R キー)
- OS をクリーンインストール
- Migration Assistant を使ってバックアップからデータを復元
- 問題発生時:
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ストレージの選択:
- ユーザーデータのみをバックアップする場合、Mac 本体と同程度の容量で十分
- 頻繁にアクセスする場合は SSD、コスト重視なら HDD を選択
- NAS を使用すれば、ネットワーク経由で自動バックアップも可能
SuperDuperとTimeMachineの選択基準
私自身は SuperDuper を使用していますが、有償のソフトウェアですし Apple 謹製の TimeMachine を使いたい方もいると思います。 次のような観点で選択すればよいと思います。
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SuperDuperを選ぶ場合:
- バックアップから直接ファイルにアクセスしたい
- 標準ファイルシステムでの管理を好む
- 選択的なバックアップをしたい
- バックアップスケールや方法を自分で調整したい
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TimeMachineを選ぶ場合:
- 設定の簡単さを重視
- 過去バージョンへの簡単なアクセスが必要
- macOS に標準搭載の機能のみで完結させたい
まとめ
Apple Silicon 時代では、起動可能なバックアップよりも「確実にデータを保護し、 必要時に復元できる」戦略が重要です。OS はリカバリーモードから再インストールし 、大切なユーザーデータは確実にバックアップしておくことで、トラブル時も迅速に 復旧できます。
SuperDuper の最新ベータ版ではブータビリティの改善が進んでいますが、 現実的な運用としてはユーザーデータに焦点を当てた戦略が効率的です。
また、私は pCloud も使用しているため、 特に重要なファイルは pCloud 上で作業するようにしています。 過去 30 日分のリビジョンが保存されますし、クラウドからいつでも取り出せます。
家庭用途では、 特にストレージコストを考慮すると、データ中心の定期的バックアップと クラウドなどへの直近のデータの保管を併用すれば十分な保護が可能です。