Weekly Buzz🐝 2024-11-08

ますます寒くなり、秋を経ずして冬になった印象です。 しかし、来週にはまた夏日が予想されています。寒暖差で体調を崩さないように気を つけましょう。今週はAI関連とGeo Productについてです。

By Toshiyuki Yoshida

今週はトランプが再選され、一時的にリスクの高いセクターの株が上昇し米国株市場 は急騰につながりました。再選でドル高を進行し円安傾向が強まっており、米国株に 投資している人にはポジティブな状況で恩恵があったと思います。 トランプ自身は経済政策として減税や関税強化を謳っており、ドル高の要因となりえ るので長期的には要注意です。

今週は、次の 3 つのトピックです。

  • AI 投資に見る IT 新時代
  • GitHub Copilot:マルチエージェント LLM 化の衝撃
  • 最高品質の宮崎製作所の Geo Product 片手鍋

AI投資に見るIT新時代

以下の表は Business Insider に掲載されていたハイパースケーラーの AI に関する CAPEX 推定の推定1です。

企業名2023年2024年2025年2026年
Amazon$55.2B$75B$96.4B$105.4B
Google$32.3B$51B$62B$69.9B
Meta$28.1B$40B$52B$60B
Microsoft$41.2B$74.1B$89.9B$100.2B

4 社合計は 3365 億ドルに達しているのも驚きですが、Amazon が特に 1,050 億と大台を突 破する投資していることです。

これらの投資の大半は GPU など「学習プロセス」を司るインフラでしょう。

9月6日の記事で NVIDIA について次のように書きましたが、まだまだ「学習プロセス」の時代は続きそうで す。

長期的には「学習プロセス」ではメインプレイヤーであり続けると 思いますが、AI全体で見るとNVIDIAの存在感は相対的に薄れていくでしょう。

以下は各社のモデルのパラメータ数の比較です。

企業名モデル名パラメータ数備考
AmazonClaude 3.5 Opus (Anthropic)2兆最大200,000トークンのコンテキストウィンドウ。
MicrosoftGPT-4o (OpenAI)1.8兆マルチモーダル対応(テキスト、画像、音声)。
GoogleGemini 1.5最大1兆最大100万トークンのコンテキストウィンドウ。
MetaLLaMA 3最大2兆オープンソースで提供される大規模モデル。
IBMGranite 3.0最大8億(800M)特に企業向けに特化したモデル。

性能がよいと言われている Amazon(Anthropic)と Microsoft(OpenAI)のパラメータ数は 群を抜いており、その投資額に比例しています。IBM など Watson はどうなっている のでしょう。

一般にハードウェアと違って、ソフトウェアの世界は投資をしたからと言って良いソフトウェアが生まれる とは限りませんでした。なぜなら、ソフトウェアでの投資は、エンジニアの工数で す。優秀なエンジニアの 100 人集めても 100 倍優秀な開発チームとはならず、感覚的に は 10 倍以上の生産性を発揮できないでしょう。多くの場合は、投資すればするほど優 秀でないエンジニアが交じってきて悲惨なデスマーチが始まります。 優秀なエンジニア一人のほうが良い仕事をします。つまり「エンジニアリング」と言 いつつ、ソフトウェアの世界は「アート」だったわけです。

しかし、この生成 AI の学習プロセスに関しては今のところ膨大なデータと Compute リソースを膨大な資金使って投入すればするほど、 性能のよいモデルができ上がるという「工業製品」なりました。

しかも、この工業製品は今後の産業変革の大きなキーになります。 もうこの投資戦争についていけるのは上記の 4 社と Tesla くらいでしょう。 しかし、続いても 3〜5 年な気がします。

GitHub Copilot:マルチエージェントLLM化の衝撃

先月末の GitHub の Blog に「Bringing developer choice to Copilot with Anthropic’s Claude 3.5 Sonnet, Google’s Gemini 1.5 Pro, and OpenAI’s o1-preview」という記事が掲載されました。

このブログによると OpenAI だけでなく、Anthropic の「Claude 3.5 Sonnet」、Google の「Gemini 1.5 Pro」、 などを選択して Copilot で利用できるというものです。

これまで GitHub は、初期に Codex を使用していた以外は Copilot の LLM には OpenAI の GPT を採用していました。Microsoft 陣営としては当然でしたが、ここに来て 対抗する Amazon(Anthropic)や Google の LLM もユーザーが選択できるようになるという ことは、Microsoft 陣営だからといって、LLM は必ずしも OpenAI に限定しないという方 針転換にも見えます。

Perplexity のように複数の LLM を切り替える仕組みを 提供するサービスはありますが、上の記事で書いたハイパースケーラー自身が これをやるというインパクトは大きいかもしれません。

現在は Claude/GPT/Llama/Gemini などが競い合っていますが、おそらく数年間激しい 競争の末に残ったものが総取りということになると考えています。

そう考えると、Microsoft や Amazon が自社内で LLM を開発するのでなく AI スタートアップと組んでことや、 Amazon が Bedrock のような仕組みで複数の LLM を透過的に扱える仕組みを用意している というのは、このような数年後に備えているとも思えます。

今回の Microsoft(GitHub)の決断は、ますますこの競争を激化させるのは間違いない でしょう。

最高品質の宮崎製作所のGeo Product 片手鍋

キッチンのリフォームを機に鍋も新調したのですが、 たまたま購入したのが宮崎製作所の「Geo Product」というブランドの片手鍋でした。

購入後、その品質にほれ込んでしました。16cm、18cm、20cm と 3 サイズの片手鍋を 揃えてしまいました。

材質、加工精度が素晴らしく、結果として安全性と料理の幅を広げることができま す。

まず材質ですが、鍋部分はアルミニウムをステンレスでサンドイッチした 7 層構造に なっています。ステンレスの安全性は高いのですが重量が重く熱伝導性も悪いので、 取り回し性が悪く加熱にも時間がかかります。Geo Product はステンレスより 5 倍も 熱電導性の高く軽量なアルミニウムを内部に折り込むことで、重量を抑え加熱しやす く冷めにくい鍋を実現しています。

また、取っ手、フタも含めてすべてステンレスのため、壊れにくく 15 年保証が付いて います。ガスだけでなく IH にも対応しています。

また加工精度が精巧で、鍋とフタが密着するほどの構造になっています。 こうすることで、加熱時に鍋の中の水分が水蒸気となって、鍋とフタの間に 「ウォーターシール」という水の幕を形成してくれます。

この構造により、水蒸気が逃げることなく少量の水でも調理できます。 いわゆる無水調理が可能です。例えば、ゆで卵なら生卵と 60ml の水を入れるだけで す。

アルミニウムの鍋やコーティングしたフライパンなど便利ですが、10 年、20 年と使っ て自分の体に何が蓄積しているか考えると多少値が張っても宮崎製作所の作る鍋を 使っていきたいと思います。

Footnotes

  1. 各社の公開情報に基づいて Morgan Stanley が試算したものです。